:: 用語解説#5│「OJT」と「Off-JT」



今回は,教育・訓練についてです.

「OJT」とは,”On-the-Job Training”の略称で「職場内教育」と呼ばれ,業務や作業を教育する場合の手法・方法のことです.つまり,業務や作業を教える場合に,その業務に習熟している者(大抵の場合,管理・監督者)が,その業務・作業の手順ややり方,注意する点やコツなどを,実際にその業務を一緒にやりながら(あるいは,やらせながら)教える教育方法を「OJT」と呼びます.この場合,”On-the-job”とは,”現場で実際の仕事をしながら””現場での実務を通して”という意味合いです.

「OJT」に対し,現場を離れて実施する,集合教育や机上教育などを”Off-the-Job Training(Off-JT)”と言います.外部教育機関で行われている教育は,これにあたります.

一般には,「OJT」と「Off-JT」(集合教育)をバランスよく組合わせて,組織での人材育成の環境を構築します.日常業務の実務を修得するために,職場の習熟者がトレイナーとなって「OJT」で教育する一方,それ以外の実務に役立つ知識・技術や理論,あるいは,実務とは関係の薄い他分野の知識を修得するために,集合教育でフォローするといった具合です.つまり,「OJT」と「Off-JT」は補完関係にあります.

人材育成に際しては,各要員にどういった技能・技術を修得して欲しいかという組織のニーズを明確にすることが重要です.そのニーズをベースにして,それを達成するための教育手段として,「OJT」,「Off-JT」を選択するのです.そのようにして,一定期間の教育予定を示した年間教育計画が作成されます.

ここでは,「OJT」という専門用語を使っていますが,日常生活の中で人に何かを教える場合には,誰でも「OJT」で教えたり,教えられたりしています.例えば,パソコンの操作を誰かに教える場合,パソコンの前で一緒に画面を眺めながら,マウスで手順を操作して,”次はこうするんだよ”と説明して教えるはずです.そして,説明した後,教えた者に実際に操作させるかもしれません.この「説明したあとに教えた者にやらせる」というステップは,「OJT」をする上で重要なポイントの一つです.

効率よく,確実に教えるためには,以下の手順で「OJT」を行います.

(1)
教える準備をする
(マニュアルや手順書などを用意)
(2)
作業を説明する
(3)
実際にやって見せる
(4)
理解したと判断したら,やらせて見せる
(5)
理解度を確認し,フォロー
(質問をしたり,実際の仕事ぶりで習熟度を確認)
(6)
(必要に応じ)教育実施内容を記録に残す

この手順の中で重要なステップが(1)(5)(6)です.(1)はこの準備が教育の質や修得具合に直結しますし,充分に(5)をしないと,後になって「そうじゃない.説明したじゃないか」ということになります.そして,(5)では,教える側に,本当に理解したのかを見極める力が必要になります.

あまりにも当たり前に実施されている「OJT」ですが,上手に覚えてもらうためには,準備とフォローが必要なのです.よく言われる文句ですが,「やってみせ,言って聞かせて,させてみて,褒めてやらねば人は育たぬ」ということです.
read more-->

17:11 | Comment(0) | TrackBack(0)
Tags: 

:: 用語解説#4│現場主義〜三現主義・三直三現



今回は,現場にまつわる用語です.

この「現場」という言葉は日本特有のものです.モノづくりにおける日本特有のメンタリティと言い換えてもいいかもしれません.
その証拠に,英語には,これに該当する単語は見当たりません.あえて挙げるのであれば,”Shop Floor”という単語が近いですが,これは「現場」というより「作業場」という意味に近く,”そこで何が行われているか?”ということを便宜的に表したものという気がします.したがって,その中に「現場」という言葉が持つ”重要な場所””唯一無二な場所”というニュアンスは感じません.

さて,モノづくりの現場では,「三現主義」や「三直三現」といった表現が使われます.どちらも,日本のモノづくりを支えてきた「現場主義」から出てきた言葉です.

まず「現場主義」とは,現場に足を運び,現場を自分の目で見,自分の耳で聞き,現物を手にとり,つまりは現場を五感で感じることによって,今まさに現場で何が起こっているのかを把握し,行動しようという考え方です.裏を返せば,現場に立脚しない机上の理論や理屈は役に立たないという訳です.

それに対し,「三現主義」の三現とは,「現地・現物・現認」あるいは「現場・現物・現実」のことです.つまり,「三現主義」とは,「現地・現物・現認」「現場・現物・現実」が重要であるという考え方です.
製造業にとって,製造するモノ(現物)とそれを生み出す場所(現地・現場)がしっかり機能していなくてはよい製品は造れません.そして,その現地(現場)で実際にあった事実を認めることが現認です.「現地」で「現物」を「現認」することが改善の源になり,発生した問題の対策や改善に結びついていくのです.
似たような言葉として,「三直三現」がありますが,これは「直ぐに現場に,直ぐに現物に,直ぐに現認を(現実に)」ということです.

「現場」にまつわるこれらの言葉は,日本の製造業が如何に現場を唯一無二なものと考え,大事にしてきたかということの証でしょう.
read more-->

22:22 | Comment(1) | TrackBack(0)
Tags: 

:: 用語解説#3│経営の基本要素〜QCD



今回は,経営の基本要素「QCD」が議題です.

「QCD」は,

【Q】(Quality):品質
【C】(Cost):コスト(価格)
【D】(Delivery):納期

を表しています.また,ここで「QCD」は同列ではなく,先に来る要素程,重要な要素です(つまり,Q→C→Dの順).簡単に言うと,品質に優れていて,コスト競争力があり,納期がきっちり守られることが,経営の基本の要素であるということです.

顧客側からすれば,至極当然な考えです.何かを買う場合,”よい”モノを”安く”,”すぐ手に入れられる”ことは非常に重要なファクターになるからです.こう考えれば,顧客を獲得して,売上げを伸ばすために,「QCD」を向上させることが会社経営上如何に重要であるかは,明らかです.

これらを向上させるために,企業では,「Q」「C」「D」それぞれを代表する指標を用意して,それらを向上させることを目指します.具体的には,年間の経営方針の中でそれらの指標あるいはその向上率を目標値として明確にし,活動するのです.ここで,指標とは,例えば,「Q」であれば品質問題件数,「C」であれば原価低減率,「D」であれば納期忠実度などです.

なお,「QCD」以外に,「QCDSM」「QCDPSM」と言ったりしますが,この場合,「QCD」以外の頭文字は,

【S】(Safety):安全
【M】(Morale):モラル
【P】(Productivity):生産性

を表しています.こういった要素が「QCD」同様,経営にとって重要な問題であるという訳です.ただし,これらの要素は,「QCD」とは性質を異にします.なぜなら,先程の例で言うと,顧客や製品に直接関係するものではなく,企業内部の状態を判断する要素だからです.

また,近年,地球環境の保全や汚染防止が叫ばれるようになり,それにつれ,

【E】(Environment):環境

を企業存続のための経営基本要素とする企業が増えています.そういった場合,「QCDE」「QCDSME」と表現されます.中には,「E」を最重要課題と捉え,「EQCD」とする企業もあります.曰く,「E」に問題がある場合は,作る資格がない,「Q」に問題があれば,売る資格がない,そして,「C」「D」に問題があれば,競争する資格がない,という訳です.

さて,取引のある仕入先について,取引を継続するかどうかを評価する場合,「QCD」で評価することがあります.このように,モノづくりの現場のような競争原理の働く業種では,当たり前の「QCD」ですが,「サービス」を扱う現場でも同様です.国や地方自治体のサービスを「QCD」で評価すると,多少は”お役所仕事”も減るかもしれません.read more-->

20:43 | Comment(0) | TrackBack(0)
Tags: 

:: 用語解説#2|PDCAサイクル(デミングサイクル,管理のサイクル)



今回は「PDCAサイクル」の話です.別名,「デミングサイクル」や「管理のサイクル」と呼ばれます.デミングというのは,今は亡きアメリカの学者の名前です.デミング博士は,1950年に来日し,日本製造業の飛躍の基礎となるTQC(Total Quality Control)を説き,産業界に多大な影響をもたらした人物です.そのデミング博士が提唱したのが,後に発展して「PDCAサイクル」となる考え方でした.

「PDCAサイクル」は,継続的改善のためのモデル・方法論です.つまり,PDCAとは,

【P】 Plan(プラン)・・・計画
【D】 Do(ドゥ)・・・実施
【C】 Check(チェック)・・・確認
【A】 Action/Act(アクション)・・・処置

であり,まず計画(Plan)を立て,それに従って実施(Do)し,その結果を確認(Check)し,必要に応じてその行動を修正する処置(Action)をとり,その後,それを元にして,再度計画(二度目のPlan)を立て,それに従って実行(Do)し,・・・を継続的に繰り返す(だから,サイクル)ことによって,改善していくのが,「PDCAサイクル」です(下図).

  ┌→【P】─┐
  │            ↓
【A】       【D】
  ↑            │
  └─【C】←┘

実際の現場では,「PDCAサイクルを回せ!」とか,「PDCAが回ってないから,よくならないんだ」「PDCAサイクルでスパイラルアップ」というような使い方をします.

各プロセスをもう少し詳しく説明すると,以下のようになります.

【P】 目標設定,目標達成のための実行計画の立案

具体例:中期計画,年度計画,半期計画,月次計画,プロジェクト計画など
【D】 実行計画に沿った実際の活動・実践
【C】 Plan(目標)とDo(実行)の結果(実績)を比較し,達成状況を確認する.
目標を未達成の場合は,その要因を分析する
【A】 Checkの要因分析を踏まえて,計画達成のための対策を立案し,直ちに実行

ここで重要なのは,このPDCAサイクルというのは,その規模の大小を問わず,活動の数だけ存在するということです(存在する,というより,存在させることが可能といった方が正確かもしれません).大きくは,年度の事業計画でのPDCAがあり,小さいものは,短期での個人の活動でのPDCAなどです.従って,組織の中では,様々な「PDCAサイクル」が展開されていることになるのです.この場合,展開するのはそれに携わる者ですので,展開をしないのであれば,それでも済みますが,よりよい活動は望めません.

現在は,製造業のみならず,他の業種にも広く行き渡った感のある「PDCAサイクル」という概念ですが,法律や規制に守られた職種程,結果を問われることを避けるため,PDだけで終えてしまい,「PDCAサイクル」を回そうとしない場合が多いように思います.

みなさんは,PDCAサイクルを軽快にくるりくるりと回してますか?read more-->

21:10 | Comment(0) | TrackBack(0)
Tags: 

:: 用語解説#1|4S/5S〜整理・整頓・清潔・清掃・躾〜



このコラムでは,モノづくりの現場で使われている,一風変わった,だけど有用な言葉や概念・しくみの紹介をしていきます.
この言葉は,元々製造業で発明された言葉ですが,今では,広く他の業種でも使われているのでご存知の方も多いと思います.

「4S(よんえす)」は,整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketsu)を意味します.つまり,頭文字に”S”を持つ単語が4つあるので「4S」.さらに,「4S」に,しつけ・躾(Shitsuke)を加えたものを「5S(ごえす)」と呼びます(ここまでくると,かなりこじつけに近いですが,モノづくりの現場には,こういったダジャレ系あるいはオヤジギャグ系の言葉が多い).

それぞれの単語は,簡単で誰でも知っている5つの言葉ですが,それらに持たせた意味は,以下の通り,重要で示唆に富んでいます.

◆整理:必要なものと不必要なものを区分し,不要物をなくす
→「層別」「捨てる」

◆整頓:必要な時にすぐ使えるようにレイアウト・場所を決める
→「指定席化」

◆清掃:ゴミ,汚れ,異物などを無くし,綺麗にする
→「清掃」「発生源対策」

◆清潔:衛生面・環境面などを含め,綺麗な状態を維持する
→「標準化」「目で見る管理」

◆しつけ・躾:決めたことを守れる躾を身につける
→「みんなで決め」「みんなで守る」

「4S」「5S」は,モノづくりの現場に携わるものが,第一に心得るべき基本姿勢です.直接的な安全・衛生・環境面での向上だけでなく,製品品質,作業能率,職場の士気などの向上,すべてに関わる重要な基本概念です.生産現場では,何事も「4S」「5S」からはじまり,「4S」「5S」で終わるとさえ言われます.

「4S」「5S」それ自体は,目標ではなく,結果としてそうなっているのが理想です.「4S」「5S」が出来ていない所では,ムダなどの悪さ加減が影に隠れ,改善はできませし,改善を進める場合に,まず標的になるのは,「4S」「5S」の状態です.

以上のように,「4S」や「5S」は,もともと生産現場で生まれた言葉ですが,”仕事”や”仕事のやり方”を対象にすれば,すべてのことに当てはまります.

みなさんは,机の「4S」はできていますか?仕事の「5S」はどうですか?read more-->

23:11 | Comment(0) | TrackBack(0)
Tags: 

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。