昨年末に,自転車ライフ という記事で「警察庁が年度内にも自転車運転のマナーなどを定めた「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)を改正する」というニュースについて書きましたが,新年早々,asahi.com:自転車道建設、国が本腰 全国100カ所 というニュースが自転車界隈を賑わせています.以下に引用してみます.
歩道を走る自転車が歩行者とぶつかる事故の急増を受け、国土交通省と警察庁は08年から、自転車道など国による自転車通行ゾーンの本格整備に乗り出す。これまで地方自治体が中心に整備してきたが、道路の総延長120万キロのうち自転車専用は2500キロにとどまる。このため、全国で10都市程度を選び、地域ごとに「自転車道ネットワーク」を造るなどして10年間で1万キロ程度を整備する考えだ。
今後2年間は、東京都江東区、仙台、名古屋、岡山、高松、大分各市など全国100地区をモデル地区に指定。300億円を投じて約200キロを整備する。
(中略)
全国では、06年の自転車と歩行者の衝突事故は2767件。この10年で4.8倍に増え、死亡事故も起きている。道路交通法は、「自転車は原則として車道を走らねばならない」と定めるが、自転車道が未整備だったことも、歩道走行を黙認・助長してきた。
事故防止を狙う警察庁は昨年6月、道交法を改正。今年6月までに自転車の通行区分を明確にする。自転車道の整備もこの流れを受けた施策だ。
いつも拝見しているtnkさんも wigglin' bloggin': 「自転車道路建設、国が本腰 全国100カ所」に思う という記事をニュースが配信されたその日にupされています.tnkさんも書かれていますが,具体的な動きは大歓迎です.やり方は注視していく必要がありますが(例の車道走行禁止騒動で失った信頼はそう簡単には戻らない),口だけではないということがわかっただけでも評価できます.
それ以上に評価したいのは,自転車ライフ では「道路や関連インフラを敷設する国土交通省や地方自治体とも全く連携が取れていないのも気がかりなところです」と書いたのですが,上の記事によると,今回の施策では国土交通省と警察庁は連携して動くと書かれていることです.警察庁だけがいくら法律を作っても,道路環境がそうならなければ意味がありませんので,実際に道路を作る組織である国土交通省や地方自治体の協力が絶対不可欠なのです.
さて施策では,対象都市として名古屋も名前を挙げられています.もしかして少し前から話題になっている「広小路の歩道拡幅計画」がこれに該当するのでしょうか.嫌な予感がします.というのもこの広小路の計画は,確か元々自転車のことがメインじゃなくて,街作りの施策だったのですから.これについては,こちらも拝見している 処々てくてくテケテケ 広小路構想、その後の・・・コモゴモ で詳しく説明がされています.ナニナニ.気になることが書かれていますね.なんでも愛知県警側から
歩道上を自転車が走れなくルールについては「そのルールは守れるのか。あるいは誰がそのルールを守らせるのか」「車道を走るなら安全を確保できるのか」と危惧。道路に荷さばき所を設けない点についても、周辺道路に負担がかかり現実的ではないと指摘した。なんて的外れな指摘も出ているようです.県警の理解がこれですから先が思いやられます.
これに関連した話しとして,wigglin' bloggin': 「自転車道路建設、国が本腰 全国100カ所」に思う でも,
全歩連でも話題にのぼっていますが、やはり地元警察がこういった動きをつぶしているようです。新しいことをやるには、こういう旧体制を突破するための仕事ももれなく付いてくるんですよね。でも、不毛だけどやるしかない。と書かれています.なんだか先の愛知県警の話しと辻褄があいますね.ヤレヤレ.
国内では比較的自転車に理解のある都市といわれてきた名古屋市には,こんな古い体質の県警には日和見ずに,是非とも自転車乗りだけでなく,歩行者やクルマのドライバーに評価される道を作ってもらうことを期待します.協力は惜しみませんよ.
なんなら一介の自転車乗りとして,案作りに協力しましょうか? Anytime, OKです(半分本気モード).少なくとも自転車乗りの意見はヒアリングして,案に盛り込む必要があるでしょう?> 名古屋市の中の人
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日本のどこの自治体が自転車行政で抜け出すのか
・・・興味を持って眺めている次第です。
ご指摘のように名古屋の広小路計画は今一つ???のプロジェクトですが、
道路によっては専用路を施設していますから、
ものによっては!!!の期待も、という処ですね。
徒歩通勤たまに自転車の、中村です。
いいニュースですね!
幹線道路:自転車専用道路
街区内路地:ゆっくり運転&ゆずりあい
で、自動車とじてんしゃ、人とじてんしゃが
仲良くなる環境になっていくといいですね。
名古屋市の場合,いままでは歩道の上に自転車道を設置という安易な方法をとってるので放置自転車でふさがれ,結局そのまま放置というていたらくですよね.歩道に自転車道を設置するのは,自転車で走りにくいこと,歩行者の進入を排除するのが困難なこと,放置自転車の問題など適切だとは思いません.やはり歩道を削ってでも車道側に作るべきです.
> 幹線道路:自転車専用道路
> 街区内路地:ゆっくり運転&ゆずりあい
まずは目指すのはここですよね.なんとか自転車,歩行者,クルマの三者が気持ちよく走れる道路環境を作って欲しいものです.
コメントの返答と重なりますが、はじめまして。
僕のような口下手自転車乗りにとってはyanzさんのような方は強い味方です。
これからもちょくちょく寄らせていただきます。
特に,京都にはブログで知った自転車の仲間がいるので一緒に走る機会があるかもしれませんね.
こんな風に作ってました。
名古屋も一筋縄ではいかないようですねえ.といっても期待するしかないかなあ.