:: 自転車に乗り,風を感じるということ



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RICOH Caplio GX/2008-1-1 on Zooomr click to enlarge

「自転車の良さは?」という問いに対し,「風を感じられるから」という答えをよく耳にします.そうでなくても,自転車のメリットを語るときにこういう表現をよく聞きます.多くの人にとってはイメージが浮かび易いのでよく使われるのもわかります.ただ,自分にとっては,その「風を感じる」というのは格別実感が湧く表現ではなかったのと,なんだか頭の中のイメージだけでイージーに語ってるように感じて今まで使ったことがなかったのです.

遅れ馳せながら,ひょんなことからそれを実感したので(って遅いやんって突っ込みはなしの方向で),「自転車で風を感じる」ということに言及してみたいのです.

それを語る前に,「自転車で風を感じる」ということを一般論として考えてみます.

普通に自転車に乗っていれば,誰だって露出した皮膚(顔やら腕,足など)に風を感じます.空気という気体の中を突き進む訳のですから当然の話しです.要するに,この場合,停まっている空気に対し自転車が速度を持って走るために乗ってる人にとっては風が起きているように感じるのです.それは無風の状態でもそうですし,逆風(向かい風)ならなお更です.

自転車に乗ることは,ある意味,空気の抵抗との戦いです.スピードを上げれば上げるほどその抵抗は大きくなります.空気抵抗は速度の二乗に比例します.つまり,速度が2倍なら抵抗は4倍ということです.そして,風は空気の抵抗そのものなのです.いくら風が気持ちよいと言っても,向かい風の中を延々と走のはつらいものです.

では,風を感じることで何が気持ちよいのか?といえば,それは,スピード感を味わえることであったり,寒暖やニオイなどから自然を感じられることであったりと,これはオートバイでも同じじゃないかなと思います.ただ異なるのは,その瞬間,自らの力でペダルを回して自転車を走らせていると実感できるからなのです.スピードメーターの速度やケイデンスの数値ではなく,風を感じることでそれを走らせていること実感するのです.

そういった様々な感覚が「風を感じる」という表現の中に凝縮されているのです.最初に書いた”頭の中のイメージだけでイージーに語ってるように感じる”というのは,自分が実感できなかったために,こういった様々な感覚を一つの耳ざわりのいいキャッチフレーズに閉じ込めてしまっているように感じていたからです.

もう昨年のことになってしまいましたが,年末に自転車に乗った時のことです.

出発すると早々に冬特有の海風が向かい風となって襲い掛かってきました.その時のルートは丁度四角を反時計回りに描くもので,前半はその向かい風と格闘しながら進みました.最初の角を左折すると,その瞬間,向かい風だったものは今度は横風に変わります.時折横風にあおられながら,アップダウンのある丘陵地帯を進みました.そして次の左折がやってきました.交差点を曲がったその瞬間,風がぱったり止んでしまい,無風状態になったのです.

と感じたのですが,それは実は間違いでした.自転車に乗ってるとよく経験することですが,追い風の中では追い風は感じずに無風になったように感じるのです.台風でも来ていれば別ですが,例えば10m/sの風が吹いているとすると,これを時速に直すと36km/hです.30km/hで走っていればほとんど風を感じないのです.背中から風が来る場合,それを感じる露出部分が少ないこともあるのかもしれません.先ほども書いたように,これはある程度の速度で追い風の中を継続的に走行していると誰でも経験することです.追い風に入った途端,風を感じなくなり,風が止んだように感じ,まるで真空にでも入った気分になります.

その時も左折した途端ペダルが軽くなりスピードが上がったので最初は「あれれ風がなくなった?」と思いました.ですが,すぐ追い風の中に入ったんだとわかりました.自分の身体では無風状態に感じるのに,実際には強風が吹いているという不思議な感覚.そして,ふと顔を横にむけて景色をみると,田畑の草木が折れんばかりに揺さぶられていました.

まさに無風状態の自転車の上でその斜めに揺さぶられている草木をみた時だったのです.私が自転車に乗って,はじめて「風を感じた」と実感できたのは.


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21:53 | Comment(8) | TrackBack(0)
Tags: 自転車 感じる 感覚 空気 抵抗
:: comments on entry
私は向かい風が嫌いです。
だから風と戦いたくありません。

追い風の中、無風状態を感じた時、私達は風になったんです。
Posted by tsukasanohide at 2008/01/11 07:46

サーフィンやパラグライダーなんかも、自然のパワーで押し出される感覚を経験してハマる人が多いそうですね。自転車の場合、風と戯れる感覚は後からついてくるので、最初は分からなくてもだんだん楽しくなってくる。さらに上手くなってくると、ドラフティングで空気抵抗をコントロールできるようになり、自然を征する感覚も味わえる。なかなか奥が深いスポーツであります。
自分はヒルクライマーなので、向かい風の中で歯を食いしばって走るのも結構好きだったりします。
Posted by tnk at 2008/01/11 12:43

こんばんは。
昔ウィンドサーフィンしていた頃は風が強く吹けば吹くほど楽しかったのを思いだします。
あれから自転車に変わって風に対してちょっと別の見方をしてましたが、向かい風の時は自分の筋力をつける為のトレーニングとして楽しんでます。
本調子になったらまた走り出しますよ。
Posted by いたお いつじ at 2008/01/11 21:27

全く同感。向かい風は苦痛です。一方、強い追い風の時はまさに風に同化して、風に包まれて、風になったような気さえします。自転車に乗ってて一番楽しい瞬間です。
Posted by matta at 2008/01/12 13:37

tsukasanohideさん,いらっしゃいませ.
冬は向かい風が余計ツライですね.追い風で風になるですか,確かにそう感じるときもありますね.
Posted by yanz at 2008/01/13 22:48

tnkさん,いらっしゃいませ.

団体で走っていると如何に先頭が大変か.如何に風を味方につけるかですね.そういえば,以前,カナダだったと思いますが,風を送風したチューブの中を自転車を走らせるというプランがありましたよ.
Posted by yanz at 2008/01/13 22:58

いたお いつじさん,いらっしゃいませ.

ウィンドサーフィンをされていたのですね.自転車以上に風を密接な競技ですね.向かい風をトレーニングと割りけれればいいのですけどね.やっぱりツライです(笑)冬だと寒いですしね.
Posted by yanz at 2008/01/13 23:05

mattaさん,いらっしゃいませ.

そうです.追い風の中を走るのは,楽しい瞬間です.自分が早く走れるようになったと錯覚してしまいますけどね(笑)
Posted by yanz at 2008/01/13 23:07



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