この看板だらけの黒壁の所在地は,碧南市相生町の県道筋.この看板の中に懐かしい看板が掛かっていたのです.
最初にこの看板を見つけたのは,いつも拝見しているnobuさんの 名古屋発 レトロを訪ねて2〜Retropolitan Journey〜:愛知県碧南市新川町・相生町 壁の看板を見る の写真でした.偶然,この記事内でこの看板が写っていた写真を見つけたのです.そして,すぐ次のようなコメントを残したのです.
宝物を見つけました. 二番目の写真のマルフクの上の”中央ムセン”がそれです. いやあ懐かしい.中央ムセンというのは,当時刈谷の銀座にあったオーディオ屋さんでこの界隈では有名な店だったのですよ.
この看板の写真を見てからしばらくした後のこと,現地に行って確認してきたのです.その時の写真が上の二枚です.
全国の町に銀座という商店街や繁華街があるように,私の育った町にも,アーケードを持つ”銀座通り”という商店街があったのです.その通り沿いには,百貨店「西川屋(のちの表屋ユニー)」や総合家具屋「さしじん」などがあって,当時の西三河ではちょっとした繁華街だったはずです.
その銀座で思い出すのは,なんといっても看板の”中央ムセン”です.私の記憶の中では,「中央ムセン」=オーディオ屋だったのですけど,看板を見て思い出しました.「デンチ一本よりあらゆる大型商品まで なんでも揃い.すぐに間に合う店.業界のトップ」とあるように,今でいうところの総合家電店でした.ただし,”ムセン(=無線)”が指し示すように,無線やオーディオの方面が専門で,この地方のオーディオファンにとっては一目置かれた店でした.
それにしても,看板に描かれている電化製品が懐かしい.ウッドパネルで回転式のチャンネルセレクター(絵にはないですが)が付いたテレビ,その横は,当時主流だったレコードプレーヤー・アンプ・チューナー・スピーカーが一体になったステレオです.
当時はオーディオブームで,ステレオは一体型からセパレートタイプへ変わる過渡期,そして,ラジカセという製品が発売され,主流になっていく頃です.その中で,この「中央ムセン」のオーディオの品揃えは,この地方では有数でした.地下一階がオーディオ専用フロアになっており,当時としては珍しくなかった真空管のアンプなども所狭しと置かれていたのを覚えています.そこでは演出のためか照明が暗めに落とされ,試聴室などもあったように記憶しています.
いまではラジカセやお手軽な一体型ミニコンポを通り越して,iPodまで行きついてしまい,オーディオやステレオとか,ハイファイとかいった言葉すらコアなマニアのためのものに風化してしまった感がありますが*1,あの時代,少年とオーディオというのは切り離し難く,用もないのに,自宅から自転車に乗って,オーディオをよく見に行ったものです.もちろんステレオなんてものは,少年にとっては高嶺の花で買う予定も予算もなかった訳ですが*2,いつもワクワクして見てたのを覚えています.
- *1
- ケーブルで音が云々などと言い合う一部のコアなマニアのための趣味になってしまったピュアオーディオ.そこから受ける印象は,はっきり言って,オタクで辛気臭さ一杯.そんな流れに反して,iPodや携帯電話などで音楽を聴いている10〜30代に「ちゃんとした音」を体験してもらいたいと,「マニア禁止」のオーディオイベント「my-musicstyle」を開催する流れもある(関連記事).
- *2
- 当時オーディオ専業メーカーだったPIONEERが初めて発売した,プレーヤーやスピーカーと接続可能なラジカセを購入するのは,もうちょっと後になってからでした.
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名品ですか.看板の目ききに言われて嬉しい限りです.
中央ムセンの名は,西三河には轟いていたと思います.たぶん.
最初は,アーケードの中程にあったのですが,そのあと,東京三菱UFJ銀行(当時,東海銀行)前の交差点角部に移転したのですが,その時は既に,普通の家電店になってしまってました.そのあたりは,刈谷を離れていたので定かではないですが,今はもう存続していないと思います.
子供の頃中央ムセンの1階にたしかコロッケを売ってるお店があったように記憶してます(違ったかな)
そこで5円で買ったコロッケのうまかったこと
西川屋がユニーになってからバイトしたこともあります
ああ 昔の記憶がいろいろ蘇ってくる
ありがとう
中央ムセンの一階にコロッケですか? 残念ながら、覚えてないですねえ。今だったら迷わず買って食べてるでしょう(笑)
銀座通りでは、セイロで蒸されていた蒸しパンのいい匂いを強烈に覚えています。
中央ムセンさんや銀座通り、yanzさんの思い出の詰まった場所だったのですね。
実はお盆に刈谷を歩いてみようと計画していたのですが、この暑さとMacの故障で先送りになってしまいました。
何が見つけられるか、今から楽しみです。
Nobuさんのブログで写真を拝見してから随分時間が経過してしまいましたが,やっとupすることができました(苦笑)
刈谷は,銀座など繁華街は寂れてしまっており,その名残が点在しているような状況です.城下だった司町や城町にはそれなりに古い町並みが残っていますが,Nobuさん好みの昭和レトロとは違うかなあ.小垣江町や野田町などは,店は少ないですけど細く入り組んだ路地裏が残っていて楽しいです.