先頃,愛知県美術館で開催されていたJPS(社団法人日本写真家協会)主催の展示会「2007JPS展」に出掛けた.
といっても,飾られた入選写真を見るのが目的ではなく(写真もみたが),それに合わせて愛知芸術文化センター(愛知県美術館はここに入っている)で行われたセミナーを聴くことと,その後のフォトクリニックに参加するため.
セミナーは,オーロラ写真で有名な写真家 田中達也氏によるもので,そのテーマは「フィルムとデジタル 新しい写真の可能性」写真のデジタル処理に関する様々な面白い話を聴かせてもらった.話の内容から推測するに,どうやら銀塩で写真を撮っている方に対し,デジタルでできることを説明するという趣旨に感じた.そういった部分については,写真をデジタルではじめたものにとってはすんなり聞ける内容であった.講師が撮影した写真(オーロラの写真もあった)をスライドで見せながら解説するというスタイルだったのだが,いつどこでどうやってその写真が撮られたのか,どうデジタル処理したのかなど,話の中に出てくるプロのこだわりがとても興味深く,拝聴した.
コンピュータはMACを使われていたのだが,最後に質疑応答の時間があったので,WINDOWSでなくMacを使う理由を質問した.色の再現性という回答を予測していたのだが,返ってきた答えは違った.最も大きな理由は作業の効率性,つまり処理速度の速さとのことだった.Macを机に喩えて説明されていたが,作業している机が足りなくなれば,メモリーを増やすことで机の面積を増やせるという回答であった.まあ理解できるのだが,それはWINDOWSでも同じではないのかなあ.Macは持っているけど,Mac使いでないので本当に言わんとしていることは理解できていないのかもしれない.
さて,その後に行われたフォトクリニックというのは,アマチュアカメラマンが各自で撮影した写真を持ち寄ってプロの指導を仰ぐといったもの.セミナーもクリニックも無料なので,参加者はもっと多いのかと思っていたのだが,予想に反して随分少なく,自分と隊長以外には三・四名が来ていただけだった.持ってきた写真を机にランダムに並べて,それに対し,写真家にアドバイスをもらう.参加したことがないのでわからないが,よくある写真教室ではこういうことが行われているのかもしれない.場の雰囲気は形式ばったものではなくて,雑談風だったのだが,写真を他人に見てもらうということ自体,はじめての経験だったので写真を机に並べる時は,かなり緊張した.30枚くらいの写真をプリントしてもっていったのだが,その中から自転車関係のものを中心に抜き取り,並べた.そのほとんどはこのブログで掲載したもの.少しリンクを拾ってみると,
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11.
プロの写真家四,五名で対応されていたのだが,自分の写真にコメントをつけてくれたのは,そのうち四名のカメラマン.
技術的なことを言われると思ったが,それは全く言われなかった.自分としては,露出の取り方がどうもしっくりいってないので,それについて訊くと,自分がいいと思っていればそれでいいという.まあ,もっともな話ではあるのだが,こちらはプロの目から見て露出をどう感じるかということが知りたかったのだが.
言われた言葉で,最も記憶に残ってるのは,キレイに撮ろうとしすぎているということ.要するに,自転車に乗って撮影しているのに,その息遣いや汗が感じられないといわれたことだ.このアドバイスをくれた方は,「パールイズミかなんかの服を着て,それなりの格好をして走っているはずなのに,その息遣いが感じられない」というようなことを言われて,知ってるなオヤジと,思わず「よくご存知で」と返してしまって,自分でも苦笑い.それにしても,パールイズミってとこがスゴイ.でも,よくよく考えたら,パールイズミのジャージは持ってなかったのだけど.
確かに,言われればそうだなあと納得する部分はあってとても参考になるアドバイスだった.自転車に乗りながら撮る以上,技術的な問題として,物理的な制限(機材的な制限と言ってもいい)があるので難しい部分ではあるのだが,そのあたりもそろそろ考えないといけないかもしれない.
これは自分へのコメントだったかどうかは忘れてしまったが,人が見て何かを感じてもらおうと思ったら,表現したい何かをテーマに持つことが重要だということが印象に残っている.ただ漠然と目に付いたもののを撮っているいるだけでは駄目で,モチーフとテーマを混同してはいけないということであった.もちろん,どんな写真を撮ろうが撮る人の自由だし,その行為自体を楽しむという側面もあるが,人に何か感じるようなものは一人よがりじゃあ駄目だということだ.
これに関連して,人に何かを伝えるという意味では,単写真よりも組写真の方が伝わり易いということがわかって,組写真に興味が出てきた.ただし,組写真にする時の写真の選ぶのにも,感性やセンス,技量が必要なようだ.
今回選んだ写真は,自転車をモチーフにしているので統一性はあると思ったのだが,その中から数枚を選んでくれようとプロがうーんと悩む姿を見ると,組写真の難しさは写真の選び方に負う所が大きいことがわかった.それによって,伝えたいことを表現するわけであるし,当たり前のことなのだけれど.
それにしても,自分の写真を人に見てもらうということは,とても刺激的な経験だった.ブログでも既に行っているので同じじゃないかと言われればそうだが,直接反応を目の当たりにするというのは,次元が違うリアルさが伴ってくる.
今回のことでいままで漠然としていたものや考えもしなかったものが,はっきりと感覚として持てるようになっただけでも,有意義な時間であった.
でも、デジカメを使うようになって撮った写真をプリントしたのは試しに印刷した数枚しかないです^^;
yanzさんは写真がお上手なので、いろいろ褒められたんじゃないですか?
確かに、写真を撮る時はテーマを考えるのは必要かもですね。
あんまり難しく考えてしまうと自由な発想ができなくなってしまうので、さじ加減が難しいですが・・・
ただ、コンテストや写真展に出すような時は自由度よりもテーマの方が重要になってくるのかもです。
楽しい体験ができてよかったですね^^
わたしもプロに評される機会など無縁なので
一度聞いてみたいのです
作品の出来がどうのというよりは
作品に対して自分の気が付いている良さ悪さと
プロの見る良さ悪さとの違いが知りたいのです
たしかに、ブログ等で後悔・・・公開はしていますが、そういった生で人、しかもプロに見てもらえることなんて滅多にないですしね。
息遣いや汗ですか・・・自分はyanzさんの写真からは空気というか雰囲気が感じられて好きなんですけどね〜。
しかし、前投稿のライブドアといい今回のJPS展といい、yanzさんはアンテナが広ですね。
そうでしたか.次回,同じような情報を入手したらお知らせしますね.
私もプリントしたものがなかったので,このクリニックのために,キタムラでほとんどの写真をプリントしました.
テーマはいつも同じでなくてもいいんだと思っています.それこそ,シャッターを押すたびに変わっても.一枚一枚で何を感じてもらいたいのかを考えて撮ることがですね.
その反対に,何も考えずに感覚に任せて撮るというのもありかもしれません.
次回同じような情報を知ったら,事前にご連絡致しますね.
> 作品に対して自分の気が付いている良さ悪さとプロの見る良さ悪さとの違い
記事に書いたように,表面上のものというのは,あまり言われませんでしたね.それは意外でした.それと,写真教室とかで教えておられる方とかは,アドバイスに慣れておられるような気がしました.
こんなに反響があるとは思いませんでした(汗)次回は,tkさんにもお知らせしますね(笑)
確かに,言われると自分でもそういう方面は欠けてるのかなあと思いました.それがあれば,受ける印象の幅が広がるような感じもしたのであってもいいかなあと.その中で,雰囲気や空気感はとても大事にしたいものの一つですね.
yanzさんの写真は、なんかドライな感じというか、生き物感のなさを実は感じていました(悪い意味ではないです)。個人的にはそれがよかったので、汗とは別の観点で見てる人もいることを覚えていて下さい。
家族の用事、自分の用事で自転車にのれてません。でも忘れないでくださいね。また連絡します。
ドライ感や生き物感のなさは,意図してるところではないのですが,確かにそれはあたっています.グラフィック的な写真が撮りたいというか,好きなんです.
出遅れレスですか?いえいえ,コメントも自転車も,いつでも大歓迎ですよ.