:: 倉敷の大原美術館

2007/07/04
┣ art&design


IMGP1950-1
PENTAX K10D+SIGMA 17-70mm/2007-6-17/Hosted on Zooomr
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直島に行った晩は岡山市に泊まり,その次の日は倉敷へ出掛けた.実は,直島で盛り沢山のご馳走(食べ物じゃないよ)を体験し,抜け殻状態になっていたのと,倉敷は仕事で以前行ったことがあり,わかったつもりでいたので軽く流そうと考えていたのだけれど,これが意外に見所満載で充実したフォト日和となった.

妹のクルマ一台に全員が乗れないので,岡山市から倉敷まで甥っ子と一緒にJRに乗って行った.快速で倉敷駅に到着すると,そこから美観地区にある大原美術館に向う.と思ったら,美観地区へと続くアーケード街で朝市が開催中で,かなりの賑わい.店を冷やかしながら美観地区まで10分程の道中を楽しむ.そして,待ち合わせの場所だった大原美術館の門の前でクルマチームと合流し,入館する.

この大原美術館は,昭和5(1930)年,倉敷紡績(クラボウ)の当時社長 大原孫三郎によって設立された,日本最初の西洋美術中心の私立美術館である.

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購読しているメールマガジン国際派日本人養成講座448号 大原孫三郎と児島虎次郎〜大原美術館にかけた夢に,この美術館の生い立ちが詳しく書かれている.その記事の中で以下にあげるくだりが印象に残っていた.大原孫三郎の先見性をよく示したエピソードではないだろうか.
昭和7(1932)年、満洲事変の真相調査のため国際連盟から派遣されたリットン調査団の一部の団員が倉敷の大原美術館を訪れた。団員はそこにエル・グレコ、モネ、ルノワールの絵画やロダンの銅像をはじめとする数々の世界的な名品が並んでいるのに仰天した。
このことから、日本の地方都市クラシキの名が米国でも知られるようになり、大東亜戦争中も、米軍はこれらの美術品を焼いてはならない、と倉敷を爆撃目標からはずした、という。

さて,その所蔵品には,エル・グレコ,シャヴァンヌ,モロー,ミレー,モネ,ルノワール,セザンヌ,ゴーギャン,ロートレック,マティス,ルオー,ユトリロ,モディリアーニ,キリコ,ポロック,ロダン,ピカソ,ジャコメッティ,イサム・ノグチなどなど,錚々たる芸術家の名前が並ぶ.

じっくりと丹念に見て回ろうと思えば,丸一日あっても足りないであろう充実ぶりである.本館を入ってすぐのところに,美術館の歴史を説明した映像を流すディスプレイが置かれていたフロアがあったのだが,その上にもアレキサンダー・カルダーのモビールがぶら下げられていた.ひっそりと,あたかもインテリアの一部のようだったので,危うく見逃すところだったのだが,隊長が見つけてくれて見逃さずにすんだ.

有名な作家の作品のほとんどが本館に展示されているが,今回興味を惹かれたのは,そこではなく,染色家の芹沢_介が,6人の作家(濱田庄司,バーナード・リーチ,富本憲吉,河井寛次郎,棟方志巧,芹沢_介)のために設計した工芸館・東洋館と,現在活躍中の作家たちの作品(現代美術を含む)を展示した分館の地階であった.工芸館については,先の記事で説明したのでそちらを見てもらうとして(トップの写真も工芸館),ここでは分館の地階について少し触れてみたい.

本館は素晴らしい作品ばかりだったのだが,ここ(分館地階)に来ると,その重みというか重圧が雲が晴れるようになくなるような気がした.説明に困るが,ここはとにかく空気が動いているように感じるのだ.それは現在も活動している作家の作品だからかもしれないし,ただ単にそういう作品を好むという自分が持っている嗜好のせいかもしれない.

この分館の地階に展示された作品の中で目を惹かれた作品について少し書いてみる.

河原温の「黒人兵」変形キャンバス.果てしない丸いダクト内を登っていく黒人兵(と言われないとわからない)が足元から描かれている.今やコンセプチュアル・アートの第一人者となった河原温が50年代に,こんなポップアートを描いていたというのは知らなかった.現在でも充分通用する作品.こういうところで評価を得たからコンセプチュアル・アートに移行できたのだろうか.

蜷川実花の熱帯の花をモチーフにした40枚の写真群「the otherside」よーく見ると,キレイな色の花は全て造花だったが,そのパリッとしたビビッドな色彩で,そこだけパッと明るく華やいで南国の香りが漂ってくるようだった.

会田誠の「愛ちゃん盆栽」も面白かった.そして,最も興味を惹きつけられたのが,福田美蘭の作品.モネやゴッホの作品を下敷きにして,そこにウィットとペーソスを振りかけたパロディ作品に釘付け.刺激されまくり.「ゴッホをもっとゴッホらしくするために」「モネの睡蓮」というタイトルから既にヤバイ.彼女については,次回詳しく.


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19:25 | Comment(4) | TrackBack(0)
Tags: 倉敷 大原美術館 美観地区
:: comments on entry
大原美術館は高校の修学旅行で行ったきりです
当然時間も少なく さっと見て周るぐらいしかできませんでした
それでもいまだに印象に残っている作品もあります
キャンバスを一線切り裂いただけの現代アートでした
作者も今となっては判りませんが
今も収蔵されていれば もう一度見てみたいものです
Posted by k-masa77 at 2007/07/05 19:10

yanzさんのこの直島シリーズ(今回は倉敷ですが)、行った気になる旅行記的な読み物として、仕事中の息抜きに読み倒してしまいました。
芸術方面は疎いんですが、行った人の旅行記として読んでいると、なんとなく行ってみたくなるのはyanzさんの文章力の影響でしょうか。

それにしても、福田美蘭の「ゴッホをもっとゴッホらしくするために」「モネの睡蓮」などのタイトルで、すでに次回の投稿を楽しみにしている自分がいます(笑)

そうそう、↓のカボチャがPumpkinではなくSquashだという話。
サッカー&フットボールとか、日本でのこういった言い方?読み方?の違いってありますよね。
Posted by tk at 2007/07/05 22:49

k-masa77さん,いらっしゃいませ.
大原美術館へ修学旅行で行くなんてオツですねえ.
キャンバスを切り裂いた作品というのは,赤い色のものでしたか.それであれば,ルチオ・フォンタナの「空間概念 期待」という作品ですね.”大原美術館名作選155”という図録にも載っていますし,実際に展示されていましたよ.
Posted by yanz at 2007/07/05 23:19

tkさん,いらっしゃいませ.
”行った気になる旅行記的な読み物”として読んでいただけているなら嬉しい限りですね.
といっても,そのつもりじゃないのですが,いつもそうなってしまうんです(笑)たぶん時系列で書くのが自分にとって書きやすいのでしょう.もっと短い文章で核心だけを書けたらどんなにかいいと思うのですけど.
カタカナは日本に入ってきた時に間違った呼び方になってるものが結構ありますよね.
Posted by yanz at 2007/07/05 23:31



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