ベネッセハウス周辺散策後は,バスで本村(ほんむら)地区へ.ここは「家プロジェクト」「NAOSHIMA STANDARD」「NAOSHIMA STANDARD2」の舞台となった集落である.懐かしい感じのする民家や商店が建ち並んだ街並が続いている.
バス停を降り,先に来て見学していた両親と妹に合流.夕方近くになりそろそろ帰る時間が近づいていたので,とりあえず見れるところを回ろうかと考えていると,母親が「南寺」を観たほうがいいと勧める.「南寺」は「家プロジェクト」で製作された安藤忠雄設計の建物である.
じゃあそこに行ってみようかということになり,入場券が必要とのことだったので,チケットを売っているというたばこ屋に行くと,もう終わりだという.なんでも開館時間は4:30までらしい.時計を見ると4:25だったが,チケットは売ってくれそうもない.先乗り組が購入したチケットであと一人分は見学できるということだったので,とりあえず建物だけでも観るために行ってみることにした.
「南寺」に着くと,黒い四角い建物があった.建物自体にはあまり興味を惹かれなかったが,中にはジェームス・タレルが制作した「Backside of the Moon」が展示されていることを知る.タレルは地中美術館にも作品が展示されていた光のアーティストである.
一人分のチケットを係員に見せると,中に入れてもらえるという.チケットを売ってもらえなかったことを言うと,あと二人(隊長と甥っ子)も一緒に入って構わないという.なんだか狐につままれたようだったが,嬉しい計らいに一同大いに感激.
作品のことは,ここで説明しても伝わらないので詳しくは述べないが,作品というよりアトラクションと言った方がぴったりくる.映画館程の大きさの真っ暗闇の部屋の中にベンチに座らされる.そうしているとだんだん方向感覚が麻痺してくるが,じっと前方と思われる方向を見つめ続ける.そこには闇しかなかったはずなのだが,15分間くらい座っていると,目が慣れてきて,前方に白い四角いものが浮んでいるのがわかる.最初は,幻覚を見ているようなのだが,それが次第に映画のスクリーンのようにはっきりしてくる.闇の中での摩訶不思議な前後不覚な感覚とボンヤリ現われる四角いスクリーン.
われわれ三人が狐につままれた顔をして出てきたのは言うまでもない.係員の方に訊くと,白い四角いスクリーン状のものは最初から存在するということだった.
この作品のタイトルは「舌上夢/ボッコン覗」かつて歯科医院だった建物を錆びたトタン板,木の板,古いカンバンなどの廃材で覆い作品化したもの.そのパッチワークのような異様な佇まいに見とれていた一同だったのだが,そこ建物の中に,巨大な白い「自由の女神」が立っているのを発見して,さらに驚いたのだった.
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ぜひとも表現したい被写体の一つなんですよ・・・。
近場になかなか良いものが見つけられなくて・・・。
これを見ちゃうと、早まらなくてよかったなぁ〜って・・・。(笑)
確かに,タイトル名は意味がよくわかりませんね(笑)家の中にヒントがあるのかもしれませんけど,残念ながら中には入れないです.本村にあった案内図からは,シールが貼られて消されていたので,そのうち展示すらなくなってしまうかもしれません.
錆びた状態というtextureには,無性に惹かれるものがありますよね.よくわかります.
でも,意外に身近にあるかもしれませんよ.