草間彌生のアイコンである水玉を身にまとったこのカボチャは,英語名では"Pumpkin"と呼ばれている.直島で見たのは,赤と黄色のカボチャ.赤のは宮ノ浦港,黄色のはベネッセの浜辺に,両方共,海に向って置かれている.
直島にあるカボチャは強烈なインパクトで迫ってきて,”アレ!”や”カボチャだ!”と,老若男女問わず,人々の関心を惹きつける.それは,現代美術,オブジェ,彫刻といった単語に付きまとう”しかめっつら”とは,正反対な場所にある.その単純明快な形や大きさと目立つ色やビビッドな水玉模様といったものがそうさせているのは間違いないが,それよりはむしろ,生活空間に置かれ,唐突に現われることが人々の衆目を集める理由なような気がする.
それが子供であろうが,大人であろうが,直島を訪れたことのある者の中には,直島と言えば,このカボチャを思い浮かべる者も多いだろう.それほどまでに,この草間彌生のカボチャのオブジェは,直島のイコンの一つになっている.つまり,このカボチャは,「アートの島 直島」という連想への最も効果的な舞台装置なのである.
話はかわるが,偶然にも最近,日本でカボチャと呼ぶ野菜は,正確には"Pumpkin"ではなく,"Squash"と呼ばれるということを,ながら族:Nagarazoku:courgette::クルジェットで知った.
ということは,日本でカボチャとして売られている野菜は,本来"Squash"であり,それを元にしたケーキは”パンプキン・ケーキ”ではなく,”スクワッシュ・ケーキ”と名付けるのが正しい(ということは,日本でカボチャを使った食べ物に使われている”パンプキン云々”という名称は,ネイティブな人には理解されないということであろう).
かつてニューヨークに在住していた草間彌生がこのことを知らないはずはない.ということは,"Squash"ではなく,"Punmpkin"とタイトルされた草間の一連のカボチャ作品は,ハロウィーンで使われるオレンジ色のペポカボチャのことを指しているはずである.そうなると,草間が意図したしないに関わらず,日本人には及びもつかない文化的なものが背景にあったりするのかもしれない.
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Squashというと思わずレモンスカッシュのことを思い出してしまいます。カボチャの姿はちょっと思いつきませんでした。
なかなかいい塩梅の大きさだと思います.実は,写真に写っている甥っ子が上に登ろうと試みていたのですが,取っ掛かりがないのでできそうでできませんでした.そういう意味でもいい大きさかと(笑)