さて,下調べもなしに直島に行くことになった訳だが,直島について知っていたことと言えば,
- 安藤忠雄が設計した,施設のほとんどが地中に隠れている「地中美術館」がある
- そこには,モネの「睡蓮」が展示されている
- 島には,他にもベネッセの美術館があり,島の生活に芸術が融けこんでいて,”アートの島”と呼ばれている
といったところで,それまで雑誌などで見聞きしてきた印象では,それはそれは洗練されたリゾートの島といったものであった.それから,地中にある美術館ということでは,昨夏に訪れたデンマーク コペンハーゲン郊外のフムレベックにある「ルイジアナ美術館」に影響を受けたのかもしれないという話も耳にしていた.
さすがに,事前に直島や地中美術館のウエブサイトくらいは拾い見して,アクセス方法くらいは調べたのだが(そうでないと行けない),そこではじめて直島が香川県にあることや,香川県に属していても位置的には,岡山県に近いことを知った.行きたいと望んでいたにも関わらず,あまり知らなかったということだ.
さて,直島に行くには,岡山市の南にある玉野市の宇野港から出ているフェリーや連絡船を使う.所要時間は20分足らずで,宇野港からは目と鼻の先の距離にある.
宇野港を出航すると,すぐ見えてくるのが直島で,船上からは噴煙を上げる煙突や工業施設をまの当たりにすることになる.というのも,島の北西部側には,三菱マテリアル直島製錬所の工場用地が広がっているからだ.ここでは,銅の精錬や産廃のリサイクル事業が行われている.最初に迫ってくるこの眺めで「アートでリゾートの島」というのが,検討違いであるという事実に気付くのだ.もう一つ付け加えると,直島は演歌「おやじの海」の舞台でもある.ただ単なる「アートの島」ではないのである.
そうはいっても,フェリーが島に着くと,草間彌生の赤カボチャのオブジェが出迎えてくれるのも,直島である.
赤カボチャのオブジェに戯れて,フェリー乗り場に帰ってくると,フェリーで来た人々もどこかに行ってしまったようで閑散としていたが,このフェリー乗り場が素晴らしい.その雰囲気に見とれるとともに,バスを待つ間,シャッターを何度も切ることになった.直島では地中美術館と並んで立ち寄るべき場所だと思う.なお,直島には,宮ノ浦と本村の二つの港があるが,フェリー乗り場があるのは宮ノ浦の方.
実は,行くまで知らなかったのだが,このフェリー乗り場「海の駅なおしま」は,SANAA(妹島和世・西沢立衛)の設計.SAANAと言えば,岐阜県営住宅ハイタウン北方や金沢21世紀美術館の設計を手掛け,世界的にも引っ張りだこで今や飛ぶ鳥を落とす勢いのあるデザインユニット.
ガラスを多用した透明感や軽やかさが強調されたデザイン,ヨーロッパには受け入れられるであろうclear&cleanでcrispyなデザイン.その軽やかさは失わずに,壁にコンクリートの打ちっぱなしを採用していたのは安藤忠雄の建築との調和を考えたのであろう.
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しかしフツーに田舎の船着場だった宮ノ浦の港が、まさかこんなになってるとは…。もう一回行きたい!
アート関係と三菱マテリアルが来る前は,さぞや質素な島だったんでしょうね.
近くの小豆島のようにオリーブがあるわけでもないし,瀬戸内海の島ならもっと漁業が盛んなのかなあと思ったのですが,それもなかったのは意外でした.
日本人より海外の人に有名なのは事実だと思います.
こういってはなんですけど,一般的に日本人はあまりアートや建築に対する興味レベルが低いんじゃないかと思ってます.
確かに,海の近くのコンドミニアム型のコテッジは居心地よさそうでしたよ.でも,やはり直島は地中美術館でしたね.是非とも行ってください.さすがに,きのこはないかもしれませんけど(笑)
直島ですか、訪れてからもう十年近くになりますね。懐かしく見させてもらいました。
いい方向に様変わりしているみたいで、
資本と地域のモチベイション等が上手く回転して行く見本になれば素敵ですね。
これからも情報を探りに伺おうと思います。では、また。
直島に行かれたことがおありなんですね.それにしても10年前というと,アートの島になる前なのでしょうかねえ.そうなると,文字通り様変わりでしょう.
精錬所といい,美術館といい,誘致がうまい島ですね.