現在,国土交通省道路局が今後の道路政策についてのアンケート調査を実施している.
趣旨説明によると,アンケートは「道路特定財源の見直しに関する具体策」(平成18年12月8日閣議決定)に基づき,今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画作成のための検討を行う一環として実施するのだとという.募集の締め切りは7/31.WEBからでも,e-mailでも回答することができる.
質問は,選択式が2問,記述式が2問の計4問で,以下の通りである.
Q1 今後の道路政策においては、コストを減らし、無駄を排するなどの効率化を徹底する必要があると思いますが、その際、どのようなことが大事だと思いますか。(選択式)ということなので,今日,回答を書いて送った.
Q2 あなたがお住まいになっている地域で、道路に関して無駄と感じることがあれば、いくつでもあげてください。
Q3 今後の取り組む道路政策の一層の重点化を図ることが必要であると思いますが、優先度が高い課題への対応は何だと思いますか。(選択式)
Q4 道路政策全般や中期計画の作成の検討の進め方等に関し、ご意見、ご要望等があれば自由にご記入ください。
今日の自動車優先の交通社会を作り出した要因の半分は,それを前提にした道路整備にあると思っている.もう半分は,その運用のマズさであり,これについては,少し前に,警察庁が出した「道路交通法改正試案」に,自転車乗りを中心とした喧々諤々の議論が巻き起こったばかりである.
それを受けて,Q4には,「道路交通法改正試案」に対するパブリックコメント #2 | my public comment で書いた内容を添削して,以下のように記述した.
残念ながら,現在の路上では交通弱者と言われる歩行者,自転車は隅の方に追いやられ,”そこのけそこのけ車が通る”とばかりに我が物顔に通り過ぎる自動車に,道を譲るしかない.そして,交通弱者が優先されるのは,事故にあったときだけという歪んだ自動車優先の社会がここにある.そして,それを前提とした道路整備が長らく行われてきたばかりか,そういったことを考えず行われてきた道路整備そのものが,この悲劇的な状況を招いた要因でもある.
昨今社会問題にもなっている歩行者と自転車の歩道での事故.これは,自転車と自動車(オートバイも含む)の分離をしてこなかったことが原因となっている.つまり,それにより自転車が法律で認められていない歩道に退避せざる負えない状況になり,それが歩行者を危険にさらす原因になっている.この問題の真因は,道路運用だけでなく,道路整備にもあるのは疑いようのない事実である.
このままでは,よりよい交通社会は達成できないばかりか,混乱をきたし,悲劇を生むだけである.この状況を是正する必要があるのは,言うまでもない.
つまり,歩道は歩行者だけのものであり,自転車とは相容れないということを大前提として,今こそ交通弱者を優先するという方向に舵を切るときが来ている.そのためには,道路空間を道路を利用する歩行者・自転車・自動車それぞれへ適正に配分するという
"share the road"
の考えに基づくことが求められている.つまり,歩行者・自転車・自動車それぞれが,安全かつ快適に通行できるような施策ならびに道路整備が不可欠である.
是非とも,この"share the road"の考えおよび施策を道路整備の中期計画へ盛り込んでもらいたい.
国土交通省がアンケートを実施しているURLはこちら
==> 国土交通省道路局:道路整備の中期計画の作成に向けてのアンケート
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veloさんが書かれたことは,どれも有効な手段だと思いますよ.それ以外にも,工夫次第でいかようにもできるのではないかと思います.
問題なのは,道路を利用する人たちに広く配分するという,シェアザロードの考えの重要性を行政側(道路を設置・整備するのは,国交省と地方自治体)が認識して,動くことです.ただし,まだまだそこまでいっていません.
ですから,そういう世論を形成していくこと,それを理解してもらうことが大事ですよね.今回のアンケートも微力ながらその力になればと思っています.
最近感じるのは、余裕がないというか、我を剥き出しにした運転をする人が増えたなあということ。
赤信号でも交差点に突っ込んでくる車、横断歩道で待っている人がいても止まってあげない車、やたらと車線変更する車…道路構造の面から心に余裕を持たせてあげられないものかと最近考えています。
> 余裕がないというか、我を剥き出しにした運転をする人が増えた
同感ですね.これは,ひとつにははストレス社会を反映したものかなあと思いますが(日本人特有のせっかちさや狭量さというものある),それと同じくらい道路行政に原因があるのも確かです.
ゆき届かない道路整備しかりですし,運用面では,停めることばかりを強いられ,それが余計ドライバーのストレスを助長する.悪循環ですね.
このあたりのことは,いずれ記事にしたいと思っています.