天竜峡行きの電車を下市田駅で下車したのは,見ごろの桜が拝めるという高森南小学校に立ち寄るため.
実を言うと,ここはひょんなことから知った「国道151号線151話」という紀行本の筆者である「まるかど企画」の内藤さんに,今回の旅に出かける前日の夜に教えていただいた場所.そのときは,ある程度予定も決めてあったので行けるかどうか微妙だったのだが,行きの中央線の中で時刻表を繰ってみたら,辰野で一本早い列車に乗れば,下市田で途中下車できることがわかり,ネットで検索してみると,下市田が最寄の駅らしいことがわかり(高森町の役所にも電話したのだが,市田も下市田も変わらないとのことだったが,徒歩なら下市田から行ったほうが早い),ここで列車を降りた.
(*全写真拡大可)
さて,カーブに立つ駅舎もない無人駅である下市田駅に降り立ったのだが,白状すると,高森南小学校の正確な場所を知らなかった.道を訊こうにも,一緒に降りた若者もすでに姿が見えなくなっていた.
仕方なく公道に繋がる駅の階段を下りると,目の前の民家の庭先で農作業中だった夫婦を見かけ,道を尋ねた.このあたりも,小学校の学区だったようで,親切に近道を教えてもらった.
小学校は小高い丘の上にあり,徒歩ならそこまでほぼ一直線に道が続いているという.それにしても,小学校が丘の上にあるとは知らなかった(写真の上の方の山の上).次の列車が来る1時間10分後までに帰ってこられるか気になったが,無理だったら途中で引き返せばいいと,歩き始めた.
教えてもらったように,飯田線を渡り,そのすぐ脇を通っている三州街道(国道153号線)を横断し,そのまま小学校に向けて坂を直っすぐ登っていく.
途中,桃の花をはじめ,色とりどりの花が咲き乱れ,春の訪れを告げている.
その先で突き当たると,右斜め上に道幅が狭い道が小学校へ続いていた.さらに急勾配になったその登り坂を息を弾ませて進む.高度が上がっていくにつれ,景色が変わっていく.
それにしても,小学校に通う生徒は,この坂を毎日登っているのだろうか.だとすると,相当心肺機能が鍛えられてるのだろうな,といらぬ心肺ではなくて,心配をするのは,自転車乗りの宿命なのだろう.
つづれ折りを一つ,二つとやり過ごすと,そこにはやっと小学校の建物が見えてきた.
そして校庭に続く階段を登ると,そこに現われたのは,校庭を取り囲むように植えられた見事な桜の木々.まさに,桜の園である.
剪定などあまり手を入れられてこなかったようで,枝がその重みで地面すれすれまで垂れ下がっていた.とりわけ素晴らしいのは,遥か下に見下ろせる電車を降りた盆地部と桜の木々のコントラストであろう.桜が遠景を背景して,引き立って見える.それは,あたかも写真撮影技法の一つであるボケと同じような効果と言えばいいだろうか.
グラウンドでは,生徒たちによってサッカー試合が行われていた.
そして桜の下には,老若男女の家族連れが三々五々桜を楽しんでいた.ただし,都市部の花見によくある喧騒はなく,日曜日の昼下がりといった風情が微笑ましい.
帰り際に,行きに道を尋ねた夫婦がまだ作業をされていて(農作物を入れる箱を洗っていたようだ),先ほどのお礼を述べると,小学校の桜の話になった.なんでも,その夫婦の旦那さんの父親が小学生だった時に植えられた桜とのことであった.その方は60歳くらいだろうか,ということは,樹齢は80年以上ということになる.
それにも驚いたが,もう一つ驚いたことがある.小学校のあるのは丘の上なのではなくて,中間だということ.夫婦の説明によると,正確には中間より下なのだそうだが,小学校の上には,倍以上の高度まで住居が存在するという.












自分の小学校の頃の雰囲気と似てますね。
その頃は何も感じなかったけれど、何十年も時間が過ぎて今改めてその雰囲気、匂い、景色を感じたいな〜って思っています。飯田線の旅をしたとき、何気なく途中下車して辺りを散策したいですね。
そうですね.中途半端な都市部では,失われつつある風景がそこかしこに残っていますね.それに,なんだか時間もゆっくり流れているようです.
そうなんです.観光地じゃなくて,飯田線のどこでもいいから名も知らぬ駅で降りて,その辺りを街道筋に沿って散策するだけで満たされる旅ができそうな気がします.
しかし写真を見ると、日曜だってのに校内にけっこう人がいますね。
なお僕の取材の模様は、6月10日頃発売の三遠南信応援誌「そう」(季刊・春夏秋冬叢書http://www.h-n-a-f.com/index2.html)に掲載されます。
学校には桜と言えば,定番ですよね.飯田線沿いにも,学校の校庭に植えられた桜はよく見かけました.
ここの学校は,高台にあるので他の場所とは少し趣が違っていて,いいですよね.いい場所を教えていただき,感謝しております.
6/10は本屋に出掛けてみますね.