天竜峡行きの電車で見事な桜が拝めるという小学校のある高森町の下市田まで,ワンマンカーに乗車.
伊那市のいかんてんぱぱの店内で伊那谷の紀行本を見つけ,飯田線情報をメモしたと書いたが,それがここの区間にやってくる.それとはオメガ(Ω)カーブのことである.オメガカーブとは,川によって浸食された深い谷を渡るためのもので,文字通り,ギリシャ語オメガという文字のように敷かれた軌道のことを言う.
現代なら川を真っ直ぐ跨ぐ橋を架けるのだろうが,建設費用を切り詰めるためだったのか,技術的に困難であったのかはわからないが,これが敷設された時代はそうではなかったらしい.つまり,オメガカーブとは,最初に川と平行に走りながら,川に沿って谷を降り,河川敷に出たら急カーブを切り,橋で対岸に渡り,対岸で来たのとは反対方向に急カーブを切り,今度は川に沿って谷を上り,もと来た線路の延長線上に戻るというレールの敷設方法である.(*全写真拡大可)
●飯田線:駒ケ根−下市田
駒ケ根 12:10−普通−下市田 13:12
1.駒ケ根 2.オメガカーブ(中田切川) 3.オメガカーブ(与田切川) 4.下市田
このときも運転席の後ろに陣取り,かぶりつきで見ていた.
かなり小さな曲率を描く線路の上を列車がその車体を傾斜させながら進んでいく様は,見ものだった.
田切駅の次駅である飯島と伊那本郷駅の間に,次なるオメガカーブが来た.
ここで渡るのは与田切川である.
先の中田切川といい,次の与田切川といい,オメガカーブでないと列車が通れないほど,急峻な地形による急流のために,川が大地を深くえぐるのだ.それと同時に,重力方向だけでなく,横にも侵食する.田切駅,中田切川,与田切川という名前からわかるように,文字通り,田が切られてしまったであろうことは想像に難くない.
伊那本郷駅を通過して,オメガカーブの余韻に浸っていると,列車の前方に雪を頂いた山が見えた.そして,列車がまさしく雪山に向かって走ってることに気がついた.
一瞬方向感覚を失いかけたが,持っていったGoogleMapsのプリントアウトを見て合点がいった.この区間(地図内の<1>)は,レールが山に対峙する方向(垂直な方向)に敷かれていたのだ.これは後で知ったのだが,この区間は鉄道ファンには撮影ポイントとして有名な場所であるらしい.
列車は桜や桃の花に彩られた沿線を行き,飯島町,松川町を通り過ぎ,高森町に入った.じきに,その中心駅である市田駅に到着し,乗客が何名か降りた.
列車が市田駅を出て,すぐに次の下市田駅に到着.ここで降車.
降り際に,次に来る電車が下市田駅に停車することを運転手に確認する.その列車に乗り損なうと,その日に帰ることができなくなるので念には念を入れたのだ.
そして,私鉄のローカル線の駅を思わせるような小さなこの駅で降りたのは,われわれ以外には若者が一人だけだった.駅舎もない無人駅は,カーブに差し掛かったところにあった.











