画像ファイルのストレージとして利用している写真共有サイト Zooomr が機能拡張のための移行作業を開始した.正確な終了時間はアナウンスされていないが,日本時間 3/14 午前0:00からスタートして,丸二日の時間を使って行われるという.
昨年7月にあった前回の機能拡張時には,その移行作業の間中,保管された画像が表示されなかった上に期限を過ぎても再開されずに焦ったが,今回はそのあたりに抜かりはない.作業期間中,zooomr へのアクセスはできないが,保管画像へのリンクは有効なままなのでブログ上の画像は表示されるように改善されている.これで安心して作業が完了するまで待っていられるというものである.
さて,前回の zooomr2.0 への機能拡張時 にもかなりの拡張が行われたが,今回のそれは,zooomr Mark III といった謳い文句が示すように,単なる機能拡張といったレベルのものではない.アナウンスされているものをピックアップしてみると...
- 大小のブラッシュアップを含め,新しく追加される機能は250以上
- ストレージ容量および写真サイズの無制限化
- 写真売買の仕組みを導入(手数料10%)
- APIの提供
なんだかスゴイことになりそうである.
APIの提供は遅きに失した感があるのは否めないが,容量無制限化は,数ヶ月前に容量upを行ったflickrへの対抗ということで理解できる範囲のもの.ただし,個人的には,現在与えられている容量でさえ,使いきれていないことを考えると,無制限化での恩恵はない気がする(オリジナル・ファイル用保管庫として利用できれようであれば大きなフィーチャーになる可能性はあるが).
また今回のトピックと言ってもいい,写真売買の仕組みの導入というのは面白い着眼点である.
現在の所,zooomr は完全無料であるが,遅かれ早かれ,サービス利用料徴収を開始するものだと思っていた.そして,その開始時期やコストは,zooomrユーザーの最も気になるところだったはず.flickrもそういうビジネスモデルなので,てっきり同じようなビジネスモデルと思い込んでいたのだが,こういった売買の手数料でビジネスが成立するのであれば,面白い.これが可能になれば,その時点でflickrフォロワーの名前は返上して,まったく違う道を切り拓いたことになる.そして,そのことで利用料が無料のままで継続されれば,ユーザーとしても願ってもないことになる.まあ,今のままで利用料を採られることになっても文句はないが.
なお,写真の共有・売買ということでは,PhotoCorpus というサービスが国内に存在するが,20Gの容量制限があることと,売る側買う側が明示的に分かれているというコンセプトは疑問.それに売買仲介手数料 30%はとりすぎでは? 今までの zooomr スタイルに売買機能を付加するのであれば,考えようによっては共有機能の一つくらいなんだろうし,すんなり受け入れられるような気がする(手数料も安価だし).それに,プロやセミプロのフォトグラファーには使える機能だろうし,育てようによってはキラー機能になる可能性を秘めている.
これらの機能以外にどんなものが出てくるのかは,注目の的である.ここで謳われていないものでは,コミュニティ(グループ)機能があげられる.コミュニティ機能の強化は,多くのユーザーからリクエストがあったらしいし,flickrに見劣りしている部分である(他にはプリンティングの仕組みとwidgetが用意されていないくらい).公式ブログでも
..look forward to improving how Photo Sharing helps the world communicate..
と言及されているので,これに関する機能がフィーチャーされるのは確実だろう.Zipline というのもそのためのものなのか? 名前からしてそのニオイがプンプンするが,興味津々である.
前回のバージョンアップが昨年の7月で,その後8ケ月の間に(正式なアナウンスでは作業期間は6ケ月とのこと)よくもこれだけのことをこなしたものだと感心するしかない.それもほとんど Kris 独りで行っているから尚更である.
●追記:2007-4-3
結局,数日間にわたる懸命な作業にもかかわらず,MARKIIIへの移行はうまくいかず,延期された.公式ブログによると,色による検索の部分でてこずったようである.
延期が決定されるまでの間(つまり,移行作業が続行されている間),公式ブログのコメント欄では,ユーザーと運営側のコメントが書き込まれ続けた.ユーザーは,”このまま空白期間が伸びても待つ”派と”これ以上の空白はまかりならん”派に分かれて議論が続いた(ちなみに,私は前者).”無料でしかもベータであるからそこまで要求できないのでは?””それでも公開サービスである限り,その責任はある”など,積極的な意見が寄せられ,葛藤が続いた.
その間,運営サイド・ユーザー双方にとってストレスが募る時間が続いたが,結局,Krisは出直しを決めた.
そのあと作業がどうなっているのかはアナウンスされていない.Krisがupした写真を見ると,どうやら日本に旅行に来ているようだから,MARKIIIにお目にかかれるのは,今しばらく先になりそうだ.このまま糸の切れた凧にならないように祈るばかりである.