前回 自転車車道通行の危機 #1 の続き.
歩道は歩行者のものというスタンスで歩行者・自転車は分離すべきである.ただし,全ての自転車に現行法の通り車道走行を押し付けるのは,困難.ということまで書いた.
ここで,話の核心に入る前に,自分を含め,ロードレーサーなどスポーツバイクに乗る者のスタンスを記述しておきたい.交渉事であれば,手の内を隠して相手の出方を探るというのも必要なのだろうが,ここはそういう場ではないし,どうしたいという希望は立場によって様々あれど,どうしたらよいかという最適解はそうそう立場によってある訳ではない.自転車乗りのスタンスを明確にするということは,最適解を見つける上でも,そしてそれを理解してもらうためにも避けて通ることのできない道だと思う.もし利害関係者の不利益があれば,意見を出しあって最適解を探すという前向きな姿勢で望めばいいことではないかと思うからだ.
現在,そうした自転車のほとんどは,車道の路側帯を走っている.あえて歩道を走らないのは,第一に,歩行者との接触が防止するため.第二に,歩道が走りにくいからに他ならない.ロードレーサーを筆頭にし,スポーツバイクでは,その巡航速度は約30kmになる.交差点のたびに段差のある歩道では,まともに走ることはできない.これは,高速道路にバンプ(凸)があるのと同じことであり,これでは100kmは出せず,高速道路ではなくなる.スポーツバイクで歩道を走行するというのは,そういう状態を甘んじて受けよと言ってるのと同じなのである.まだ,それも理由があるなら仕方なく受けようとも思わないでもないが,たまたま段差があるためにスピードが出ないだけである.段差だけが問題ではなく,歩道を走るということは,必然的に横断歩道を渡るということにあるのであるが,横断歩道を渡るには,一旦交差する道に曲がる必要があり,そのため直進できない.これも快適に走ることを妨げる要因となる.だから,段差があり,交差点のたびに直進できない歩道を走るのは,苦痛以外なにものでもないのである.
仮に歩道しか走ってはいけないということになれば,スポーツバイクに限って言えば,歩道のあるところは走らなくなり,歩道のない一部分で楽しむといったように,移動の手段からレジャーの一つになってしまうだろう.これだけ自転車に乗る人が増えてきた今,この国に自転車文化を作れるかどうかの瀬戸際にきている.それを警察庁の一介の官僚屋にうっちゃっる権利は,全くない.
では,どうしたらよいか?であるが,これは 前回の記事 にも書いたように,歩行者と自転車を分離させるのは勿論として,自転車と自動車(オートバイも含む)の分離も必然である.これをしてこなかったから自転車が歩道に退避せざる負えなかったのである.私見ではあるが,その具体的な方策は次の通り.下の二枚の写真のように,既に整備されているところもある.
(基本) 現行法の通り,路側帯を自転車走行専用帯とする
(オプション) 路側帯に充分なスペースが確保できない場合
(ii) 歩道がなければ,現行のまま
(i) 自転車走行帯に対する法改正とドライバー・歩行者への周知徹底<(路駐および進入禁止)
(ii) 自転車帯での自転車への権利の付与(警笛解禁など)
(iii) 自転車乗りへの教育徹底(特に,未成年者や年配者)
奥浜名湖 細江町気賀 国道362にて(左)/高浜市 県道50にて(右)
ここで,最初の法案改訂のニュースの話に戻る.
この法案改正は限定ながら歩道を走らせるという,今まで説明してきたことと,全く逆行する法案なのである.これが的を得ている訳がない.そんな暴挙は許さじということで,疋田氏はじめ勇気ある自転車乗りが阻止に動こうとしている.なお,疋田氏はNPO法人「自転車活用推進研究会」の理事でもあるとのことで,主にそこを活動の場として行動に出るようである.疋田氏のメルマガによると,その場で決議された対抗策は,次の通り.
2. 自転車議連への働きかけ
3. 谷垣前財相、小杉元文相など、キーマンたる代議士への働きかけ
4. 「安心して歩ける歩道を実現する全国連絡会(仮称)」の設立
5. 秘密
6. 秘策
7. リーサルウェポン
この中では,5,6が何なのかははっきりしないが,疋田氏はTV放送局のプロデューサーなのでマスメディアを利用したアピールがあるかもしれない.前回のコメントでも触れたが,利害関係のあまりない自転車乗り同志には公のつながりほとんどなく,それを担う団体もない(というか必要ない).自転車乗りは,自身の声をまとめ,それをアピールする手段を持っていない.そういう意味で,疋田氏がマスメディアを利用することを大いに期待したい.
これ以外で自分なりに思いつく対策を挙げてみようと思う.
●2 シマノをはじめとした,自転車業界への働きかけ
●3 トライアスロンの団体との協業
●4 マラソンや競歩の団体との協業
●5 土木建設業者・団体との協業
●6 blogなどネットを使った草の根活動
●1のクリティカルマスというのは,自転車で車道を占拠して自動車社会に警鐘を鳴らそうという一種のデモである.道路を占拠し,自動車のドライバーへ迷惑を掛けることになるので,やり方を間違えると,ドライバーの反感を買うだけになるので工夫が必要である.例えば,次のような.
・歩行者による歩道のクリティカルマスを同時に行う
●2については,説明の必要もないだろう.
●3については,トライアスロンはbikeを使う競技であるので,利害関係は全く一致することを考えても,強い味方になってくれるはずである
●4については,歩道を自転車が走れば,困るのは歩行者であり,マラソンや競歩と言ったスポーツをされている人も困るはずである.
●5については,先に述べたように,究極の対策としての自転車専用通行帯の設置を実現しようとすると,道路工事が必要になることから,その仕事を請負うことになる団体にとって,それを支援することにはやぶさかではないはずということだ.お上にたてつくことになることを積極的に加担するかどうかはわからないが,打診する価値はあるのじゃないだろうか.
●6については,この記事を書いている動機のもとになってもの.一般生活にネットが普及し,世論形成という面ではその影響が無視できなきなっている現在,これを使わない手はない.
最後になったが,疋田氏も書いている.「なるだけ早いアクションを。法案提出まで、猶予はあと2ヶ月しかない。」自分でできることを実施していくしかない.
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特に都心だと…
日頃は路側帯を走っていますが、新宿駅近辺は歩行者の数がものすごいので車道のド真ん中を走るなんてのもよくあります。スポーツバイクなんかだと気にせず真ん中走っていますし。
自転車専用道路があればいいのですが、歩道すらない道もありますし、中々難しいような気もします。余計な看板とか放置自転車があるから歩行者も自転車も迷惑している場合もありますし、色々手をつけなければならないところは多いのでしょうね。
基本的に賛同したいと思います。ただ、インフラの「 吠眛擦魘垢?靴董ΑΑΑ廖⇒ダ莉膂未箸靴董△泙困麓崙札譟璽鵑僕祥気?△譴弌△修譴療祥僂鬚泙差佑┐襪戮C?隼廚い泙后?
連携して、まとめて声を大きくして、まずは道交法改悪の阻止をしたいものです。
名古屋でも、声が高まれば、ニューヨーク(でしたっけ?うろ覚えですみません。)のように、自転車乗りが大集結して、久屋大通を占拠デモ行進してみましょうか?(^^;)
そうなんです.インフラにしても,ルール面やその徹底でも,いろいろ手をつけなければいけないことがあるのですけど,思考停止しちゃっているのです.
困ったことに,それで,「まあいいや,全部歩道に押し込めとけ」てな具合なんです.
なんとかしないと取り返しのつかないことになりそうなんです.
ところで,カマキリはわかってくれましたか?色といい,形といい,カマキリの佇まいそのものだと思ったのですが...
検討といえば,聞こえはカッコイイですが,全くもって当たり前のことなんです.中には簡単に実現できないこともありますが,やらないと歩行者,自転車,車の三者が安心して通行できる交通環境が実現できるはずがありません.
おっしゃる通り.そうですね.まずはなんとか阻止したいですね.
そのためには,何ができるかですね.疋田氏の最新のメルマガには情報が載ってましたが(そうそう.車道締め出しの理由は,やはり当たっていたようです),関東方面ではいろいろ集会が予定されているようです.
名古屋地区でも何かできないかなあ.クリティカルマスでもやりますか?一度,疋田氏にメールしてみるつもりです.何かするにしても,足を引っ張る結果になるのは避けたいですからね.
特に速度の出るスポーツ車は当然です。
しかし、ままちゃりや子供は安全面から見て車道はNGなので、歩道となってしまうのでしょう。
最近ちょっと思っていたのですが、元々2車線の道を、
交差点だけ右左折の車線を増やし突如として3・4車線になっているところが多い。
当然今まであった路側帯は交差点付近になると突然無くなる。一級国道でもそうだ。
直進の自動車の流れを保つためなのだろうが、
路側帯を走りたい我々自転車にとっては迷惑なことで左折の車との衝突の危険が増える。
自己が増えるなら自転車は歩道へと強制されると、
車道で被害者になりうる我々が加害者になる危険が増える。
また、普段大型バスに運転している立場から言わせていただけば、
無理矢理車線を増やした車道・交差点は道幅狭く、大型車が並んで走れない場合もあり、
かえって車の流れを悪くしている場合がある。
たまの休みに乗用車を乗る程度の方々が机の上で作った案を押付けられたのではたまらない。
頭はいいのかもしれないが、
道路の実情をもっとよく見て考えていただきたいものだと思います。
道路が仕事の場として活躍されているプロのドライバーの視点からの指摘は,とても貴重で重いですね.
交差点付近での路側帯がなくなることは,確かに,そうですね.言われて思い出しました.右折車が停車していると,左には車一台分のスペースしか確保されていませんね.このあたりは,思い切ったインフラ整備をしないと解決しませんね.
地元にも,普通の片側二車線の道の路側帯を自転車道(自転車のマークが入っているのです)と明示しているところがあるんですが,交差点で右折車がいると,直進車は自転車通行帯に侵入して追い越して行きます.おまけに,自転車は歩道を通行してるし,全く意味ないことになってしまっています.