
座席は3号車の89と92.番号が離れているのでおかしいなあと思っていたのだが,中央部の両側にに向かい合わせの席があり,そこだった.ICEでは,新幹線のように座席の向きを変えることはできず,中央の向かい合わせの座席を挟んで,その前後は中央を向く方向に固定されている.この車両には,10人ほどしか乗車しておらず,混んでないときのこだま並みの乗車率である.その10名程の乗客のうち,我々と隣のコンパートメントの計4人を除き,他の全員が進行方向に向かって反対方向に座っている.
このICE,他の列車には自転車をそのまま乗せられるスペースがある.そこには,固定するベルトまで装備されており,3台分の自転車をばらさずに固定できるようになっている.これなら輪行なんてことはしなくてもいい.日本では輪行は魔法のジュータンであるが,こちらでは自転車を移動するのに魔法は全く必要ない.これは,Helsinkiの街の中でも感じたことであるが,自転車が交通のインフラを担う重要な移動手段と認知されている証しである.
10:00 Karjaaに停車.VR(フィンランド国鉄)のICEは森の中を進んでいく.
ここでHelsinkiについて少し書く.Helsinkiはとても素敵な街だった.日中の気温は25℃前後で,半袖で少し肌寒い.日は長く,夜の10:00までは十分明るい.治安は全く持っていい.女性が独りで夜中に歩き回っても問題ない(といっても22:00をまわらないと暗くならないのであるが),日本より安全とさえ言える.その中世の雰囲気を色濃く残す佇まいの中に,洗練されたデザインが生活に溶け込んでいる.そして,なんといっても,そこに暮らす人々は,この国のシンボルである森を連想させるように,穏やかさをたたえていた.とびきり親切な人々.街の中には,トラム(路面電車,軌道敷内自動車走行可)やバス,車,自転車,歩行者がひっきりなしに溢れ返っているのだが,まるで穏やかである.パトカーや救急車のサイレンはおろか,とうとう一度もクラクションを耳にすることはなかった.
それから,この国の穏やかな人たちに感じた日本人との共通点.それは,混雑した中で人を掻き分け進むときや,体が接触した際に,何も言わないこと.アメリカなら通ろうとする前や後に必ず "Excuse me" を言うが,Suomiの人は言わない.別に悪いと言ってるのではない.これは日本と同じように,多民族国家でないことによるものなのではないだろうか.阿吽の呼吸を当たり前に感じることのできる人たちなのである.そういう意味では親しみを感じた.そして,真面目で人を騙すことをしない人たちという意味でも.
こんなことがあった.サイクリングに行くために,自転車レンタル屋である GREENBIKE で自転車を借りた.この店は滞在したホテル KLAUS K HOTEL のあるBULEVARDI通りにあった.そこでママチャリに毛が生えた程度のMTBモドキをサイクリング当日に借りた.その日の20:00までに戻ってこれるかわからなかったので,念のため次の日の20:00までに返却するということでその分の料金を支払った.サイクリングから帰ってくると20:00前だったので一日早かったが,夜中に盗難にあっても困ると思い,そのまま返却しに行った.驚いたことに,GREENBIKEの兄ちゃんは,一日早く返却した分の料金を返してくれるという.それも,さも当然だと言わんばかりに.普通であれば,こちらの勝手で一日早く返したので,料金が戻ってこなくても文句は言えないと思っていたのでこれは嬉しかった.金の問題ではなく,その姿勢に,隊長共々,いたく感心した.後日,日本から持ってきたお土産を渡すために,店を訪れたが,残念ながら休みで逢えなかった.
余談であるが,そのサイクリングには,日本から持っていたRaphaのジャージとパンツを着ていったのだ,自転車を返した時に,GREENBIKEの兄ちゃんは,Raphaのことを知っていて,"Raphaはいいよね.俺は金に余裕がないから買えないけどね"と話しかけてきた.店もひっきりなしに客が入ってきてたし,そんなことはないよなと思ったので,"No kidding.You looks busy."と言ったら,意味がわかったと見え,近くにいた女性客ともども,笑っていた.
Helsinkiで行きたかった場所は,ほとんど行けた.詳細は後日に書くとして,印象に残っているのは,地中に光が降り注ぐようなテンペリアウキオ教会,Aalto House,ヌークシオ国立公園の森,自転車を借りて走ったAalto Houseのあるムンニキエミからいくつもの島を越えて走ったOtaniemiまでの道,そして,途中立ち寄ったKuusisaariのデュドリシュセン美術館とヘルシンキ工科大学.そこからKuususaariへ戻り,今度は別のルートでHersinkiまでのサイクリングを楽んだ.
今日はNaantaliに泊まり,明日の晩はSiljaラインでStockholm(Sweden)に渡る予定.
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今日,STOCKHOLMに入りました.三日間連続で移動が続いて少し疲れました.今日は,中央駅周辺とGAMLA STANを少し歩きました.明日は,もう少しゆっくりと市内の別の場所を回る予定です.
日本は暑いようですね.こちらも日中は日差しが強いですが,朝晩は寒いですので調整が難しいです.それにしても,そろそろ同じような食事に飽きてきましたねえ(^^)
「この国の穏やかな人たちに感じた日本人との共通点」
ふむふむ。面白い!てな感じで、興味深く読ませて頂きました。
これからのアップも楽しみにしております。ではでは…旅先での体調管理にはくれぐれも気をつけて、楽しんできてくださいね!
お気遣いに感謝します.ここ数日は,移動が多くて,少し疲れぎみですが,なんとか楽しく過ごせてます.ひとくくりに北欧と言っても,食事から街の雰囲気や匂いまで全く違うのでおもしろいですよ.
うわべだけでは,比較的治安がよさそうですが,そうではない部分もあるのでしょうね.ご忠告に感謝いたします.アメリカに住んでいたことがあるのでそのあたりの嗅覚はあるつもりですのでご心配なく.
Helsinki,Stockholm,Kobenhavnと来て,だんだん都会になってきて,それに比例して,街も汚くなっているのが,残念です.