:: ”おにぎり”は究極のミニマル・フード

2006/07/06
┣ その他


riceball

先日紹介した映画「かもめ食堂/ruokala lokki
フィンランドにある「かもめ食堂/ruokala lokki」のメイン・メニューは,”おにぎり”.そして,”おにぎり”は”日本のソウルフード”というセリフが出てくるわ,その映画を観た誰もが”おにぎり”を無性に食べたくなったに違いないです.そして,こんなエントリーを書いてしまう程,”おにぎり”の偉大さを思い出させてくれたのでした.

”おにぎり”は,その佇まいのシンプルさにおいて究極の”ミニマル・フード”だと,常々思っていました.

シンプルさということでは,豆腐を思い浮かべる方が多いかもしれません.そのキューブリックの「2001年宇宙の旅」に登場する”モノリス”にも匹敵するかのような白い立方体(寄せ豆腐は除く)である豆腐は,形といい,その滑らかな表面といい,勿論シンプルの極みなのですが,食卓に並ぶ料理としての最終形は薬味や醤油が乗っかった形で,その状態では,惜しいかな,しっかり料理然としています.

それに対して,”おにぎり”は,白米と海苔という異材質の組み合わせた中であれだけのシンプルさ.白黒という色のコントラストと艶やかな”粒”の集まりとガサガサの繊維状の黒い”紙”という全くもって異質な素材感.その強烈な佇まいからはじめて見る人には,一見して食べ物とは見えません.

そういう意味で”おにぎり”は究極のミニマル・フードなのだと勝手に思っているのです.”おにぎり”は”モノリス”にも対抗しうる「オニギリス/onigiris」と言えるでしょう.

その”おにぎり”に関してアメリカで体験した話.

その当時,私が一緒に働いていたアメリカ人の昼食というのは,ボリューム的にも内容的にも大変質素なものでした.製造工場に勤務していたのですが,そこの食堂では料理は用意されません.そこにあるのは,スナック類やサンドウィッチが買えるベンディング・マシーン(自動販売機)だけでした.新しく建設した工場だったので従業員数が少なかったということもあったかもしれませんが,それよりも彼らは食べないので必要がなかったのかもしれません.アメリカ人がランチとして持って来て食べるものといえば,サンドウィッチやピザあるいは煮豆などが一般的でしたね,ボリュームは日本人からすると少なかったです.あの少ない昼食で午後の間よく持つものだと思うくらいです.中には,自分で持ってきたポテトチップを食べるだけの者も居ました.

私はというと,食についてはそれほどうるさいほうではなく,現地の食べ物に積極的に適応しようとの思いもあったので(自炊が面倒という裏事情は置いておいて),最初は,ベンディング・マシーンにお世話になっていました.でも毎日同じようなものばっかり食べていたら飽きてしまい,結局弁当を持って行くことに.そこで簡単に作れる”おにぎり”を持っていくようになりました.それも横着して一合の白米で作った”特大おにぎり”を作ってもっていったものです.

その特大おにぎりを持っていった最初の日.日本人にはその大きさにビックリされ,アメリカ人にはその白黒の食べ物にビックリされました.アメリカ人にとって,黒い食べ物が異様に映ったようで

「What the hell is this black paper ?Is it food ?」(一体その黒い紙はなんだ?それは食いもんか?)

とアメリカ人に訊かれたものです.

「It's seaweed」(海藻だよ)

と言うと納得してくれましたが,わかったようなわからないような表情でしたね.海藻というのは理解できても,元々海藻を食べるという習慣がない彼らにとって,海藻が紙のようになってて,それを食べるというのは,相当なカルチャー・ショックだったに違いありません.ただし,食べされて欲しいという依頼は一度もなかったのが残念でした.特大おにぎりを一個だけ持っていっていたので頼みようにも頼めなかったのかもしれません.

それに,彼らは知らないのです.その中に第二の宇宙が隠されていることを.

「白と黒 内なる神秘 オニギリス」


Related entries:
『かもめ食堂/ruokala lokki』
19:27 | Comment(4) | TrackBack(0)
Tags: 
:: comments on entry
こんにちは。
おにぎりは確かに奥が深いですよね。形も△から□とか米俵型と色々ありますし。私は気にしませんけれど、形を選ぶ人もいるらしいですからね。

海藻を食べるというのは東洋とかポリネシアの方だけかもしれないですね。だから向こうのスポーツ選手には若禿が多いんですかね?
Posted by 川の果て at 2006/07/07 14:56

川の果てさん,コメントありがとうございます.
おにぎりを形で選ぶというのは,初耳ですね.丸ではダメで三角で角がうまくとれていないとダメとかでしょうか?(^^)
海苔の状態も,パリパリとベッタリしたものといろいろ好みがありますよね.
海藻を食べる習慣はアジアくらいかもしれませんね.海藻と頭髪の関係は,どうなんでしょう.関係あるのでしょうか?
Posted by yanz at 2006/07/07 17:16

年配の方は「にぎり飯」という言い方をするようですが、もともと海苔は巻かれていなかったのでしょうか。よく時代もの映画の旅の道中の休憩シーンを見ても、海苔が見当たらないのですが・・実際はどうなのでしょう?まさにソウル・フードのおにぎり、気になりますね。話は変わりますが現地の「かもめ食堂」に行ってきましたよ。本来はKahvila Suomi(フィンランド・カフェ。すごい名前ですよね)という地元に密着した飲食店でした。内装、什器も映画とは違いますが、心地よい空間のお店でした。詳細は、後日ブログでアップする予定です。
Posted by barulho at 2006/07/08 20:39

barulhoさん,コメントありがとうございます.
確かに,にぎり飯とも言いますね.時代劇のには,海苔がなかったような気もします.
少し調べてみましたが,いつから海苔を巻きはじめたのかは見つけられませんでしたね.干し海苔が流通しはじめたのが,江戸時代らしいのでそれ以降ですね.
Kahvila Suomiには行くつもりでしたよ.来週にはメール致しますので,また教えてください.
Posted by yanz at 2006/07/09 21:17



:: feel free to leave a comment!
Name: [necessary]

E-mail:

URL:

Comment: [necessary]

Verification Code: [necessary]


**Type letters displayed in shaded area./上の4桁の数字を半角で入力下さい


!! 下のボタンを押す前に,お手数ですが上の四角に8889を半角で入力願います !!
Thanks a lot!

Trackbacks on entry
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。