自分が気に入るということは,自分の生活に入り込んでくるということ.出会った時にはわからないこともあるのですが,それを予定調和的に語れば,ワクワクするlifestyleを示唆してくれる(くれていた),あるいは,ヒントをくれる(くれていた)ということです.「ワクワク」させてくれるものを見つけようとしているのですが,反対に,個人的な思いが入り込む余地のない所で,望むべからぬモノが広がる場合もあります.今回はそんな話.
design for lifestyle.「カワイイ」より「ワクワク」なんです.
表題の”パッカンケータイ”というのは,閉まる時に「パッカン!」と間抜けな音を立てる携帯電話のことです.英語では,clamshell(クラムシェル)とかflip(フリップ)と呼びますが,日本での呼び方を知らないので,二つ折になる携帯電話に皮肉を込めてこう名付けました(笑) 現時点の国内携帯電話市場では,この”パッカンケータイ”が圧倒的なシェアです.いま,世界中のそこら中で”パッカン”が響き渡っています.電車に乗っても,あちらで,”パッカン”,こちらで,”パッカン”.
騒音で罰せられることはあっても,醜悪な外観というもので罰せられることはありません.それだけ,音というのは,周囲の人に影響を与えるものです.それが,人工的に出される音であれば,なおさらです.このように,周囲に耳障りな音をたてつづける”パッカンケータイ”は,私にとって”bad design for lifestyle”に他なりません.
ヒンジを使って二つ折にするというのは,コンパクト化する時の常套手段です.ノートブック・パソコンも,ポータブルのゲーム機もそうなっています.それ自体はアイディアであり,デザインの一部です.問題なのは,そのデザインが生み出す嬉しくない結果です.
白状すると,深澤直人デザインの「NEON」が発売された時には,かなり後ろ髪を引かれました.モックアップを見るために足を運んだほどにです.「NEON」のモックアップを持ちながら,「うー」とか「あー」とか「ふむふむ」とか「だめだー」と不気味に独り言をつぶやきながら,「パッカンケータイは本当にダメなのか」を確かめるべく,フリップの開閉をを繰り返したのでありました.
発売された当初,「NEON」を紹介した記事で,スクエアな四角いフォルムを実現するために,ヒンジ部をT字にし,目立たないようなデザインにしたとか,ダイキャストの抜き勾配を少なくしたとか,そして,それを実現するために加工技術的に苦労したといったのを読んだ記憶があります.その時は「なるほど.こだってるのね」と冷静な態度をとっていられたのですが...
大部分の”パッカンケータイ”のヒンジ部は,可動部側(ディスプレイ側)が左右両サイドに分かれて二箇所で支持する形になっています.それに対し,先ほど書いたように「NEON」の場合,ヒンジ部での可動部側の支持は中央部一箇所で,それだけが動きます.ディスプレー部を一本のヒンジだけで支えることになるので,ガタ付きが大きいし(これは代表的な「NEON」の弱点),ヒンジに仕込まれたバネ(これこそパッカンの元凶!)には,通常のものよりバネ係数の大きいものが使われており,そのためヒンジが締まろうとする力も大きく,ひときわハイデシベルな”パッカン”音を響き渡らせるのです.ヒンジ部の見た目をよくするために,細部に拘って,挙句の果てがパッカン増幅って,納得いきません(笑)
現在国内のケータイは,ほとんど全て”パッカン・ケータイ”です.このままでは,そのうち「パッカン大国」になってしまいます(笑) それとも,パッカンケータイがストレートタイプを駆逐してしまったように,今後,他のタイプが取って替わるのでしょうか?
誰か,余計なノイズを出さないというスタイルでケータイをデザインしてくれないかなあ.
私は、パッカンケータイ?を使ったことがありません。
というか、カメラ付き携帯電話もありません。
な〜んと!今使っている機種の前は、白黒画面でした(^^;
今度、機種変更するとしても、たぶん機能よりも、一番薄型で軽量であることが選択の条件になると思います。
hideさんのpreminiもそうですが,RADIDENなどDoCoMoにだけはストレートタイプの進化版があるんですよね.preminiは現時点での最軽量ケータイだと思いますが,これからワンセグなどで画面の大きさが必要になってくるとコンパクト化にも影響があると思います.自転車乗りとしては,コンパクト(デジカメ不要)・防水・非パッカン以外は要らないですよね.
今まであまり気にしませんでしたが、確かにあの開く時のパカパカという音は聞いていて耳障りのいいものではないですね。
ただ、都内ではそもそも開きっぱなしのままの人が多いので、意外に音を聞く機会はないようにも思います。
これはこれで問題という気がするのですが…(苦笑)