「QCD」は,
【Q】(Quality):品質
【C】(Cost):コスト(価格)
【D】(Delivery):納期
を表しています.また,ここで「QCD」は同列ではなく,先に来る要素程,重要な要素です(つまり,Q→C→Dの順).簡単に言うと,品質に優れていて,コスト競争力があり,納期がきっちり守られることが,経営の基本の要素であるということです.
顧客側からすれば,至極当然な考えです.何かを買う場合,”よい”モノを”安く”,”すぐ手に入れられる”ことは非常に重要なファクターになるからです.こう考えれば,顧客を獲得して,売上げを伸ばすために,「QCD」を向上させることが会社経営上如何に重要であるかは,明らかです.
これらを向上させるために,企業では,「Q」「C」「D」それぞれを代表する指標を用意して,それらを向上させることを目指します.具体的には,年間の経営方針の中でそれらの指標あるいはその向上率を目標値として明確にし,活動するのです.ここで,指標とは,例えば,「Q」であれば品質問題件数,「C」であれば原価低減率,「D」であれば納期忠実度などです.
なお,「QCD」以外に,「QCDSM」「QCDPSM」と言ったりしますが,この場合,「QCD」以外の頭文字は,
【S】(Safety):安全
【M】(Morale):モラル
【P】(Productivity):生産性
を表しています.こういった要素が「QCD」同様,経営にとって重要な問題であるという訳です.ただし,これらの要素は,「QCD」とは性質を異にします.なぜなら,先程の例で言うと,顧客や製品に直接関係するものではなく,企業内部の状態を判断する要素だからです.
また,近年,地球環境の保全や汚染防止が叫ばれるようになり,それにつれ,
【E】(Environment):環境
を企業存続のための経営基本要素とする企業が増えています.そういった場合,「QCDE」「QCDSME」と表現されます.中には,「E」を最重要課題と捉え,「EQCD」とする企業もあります.曰く,「E」に問題がある場合は,作る資格がない,「Q」に問題があれば,売る資格がない,そして,「C」「D」に問題があれば,競争する資格がない,という訳です.
さて,取引のある仕入先について,取引を継続するかどうかを評価する場合,「QCD」で評価することがあります.このように,モノづくりの現場のような競争原理の働く業種では,当たり前の「QCD」ですが,「サービス」を扱う現場でも同様です.国や地方自治体のサービスを「QCD」で評価すると,多少は”お役所仕事”も減るかもしれません.
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